「平成29年度税制改正」その2
税務コラム - 2017年01月27日

「配偶者控除がかわる②」

平成30年より、配偶者控除及び配偶者特別控除が給与受給者本人の年収等によりさらに縮小されることとなりましたが、この改正によりどのような影響があるのか考えてみます。

■103万円の壁、130万円の壁とは?

これまで、配偶者の給与収入103万円以下に抑えることにより、①配偶者自身の税金が0円(他の所得がない場合)②給与受給者の配偶者控除(38万円)が受けられ、③配偶者は給与受給者の社会保険等に負担なく加入することができ、④所属企業等によっては、配偶者手当などの名目で給与上乗せされる制度の恩恵を受けることも可能でした。
103万円を超えても130万円以下なら、①は若干負担増えることになり、②給与受給者本人の所得1000万円以下なら配偶者特別控除(最高38万円)が段階的に受けられ、③給与受給者の社会保険等に加入できるが、④配偶者手当は(企業によるが)ほぼもらえない、という状態になります。
このように、①~④全ての恩恵を受けたいなら103万円、最低でも③の社会保険の負担は避けたいということで、130万円に抑えるといった動きが見られました。

■短時間労働者に対する社会保険加入対象者適用拡大

ところが2016年10月より、常時501人以上の企業を対象に、週20時間以上、月額8.8万円(年収106万円)以上の就労者を対象に、社会保険加入義務が生じることになり、106万円以下に抑えようという動きがでてきております。
因みに2017年1月現在、月額8.8万円に対する社会保険料負担額は月額13,300円(介護保険料除く)。介護保険含め14,000円弱が本人負担額となるので、年間16万円前後の負担になるなら、その分働かないで手取りを減らしたくないという心理が106万円の壁の背景にあるようです。

■高額所得者の配偶者

今回の改正案は、高額所得者ほど配偶者控除が少なくなり、所得1000万円(給与収入で12,315,789円)を超える場合には配偶者控除若しくは配偶者特別控除が受けられなくなります。(前回参照)
一部の高額所得者にとっては増税となりますが、年収1200万円の税負担率は恐らく表面税率33%前後(所得税+住民税)のため、配偶者控除38万円×33%≒12.5万円程度税負担が増えることになるでしょう。
年収106万円で押さえていた配偶者が、この「本人」の増税分12.5万円をカバーするため、さらに働いて稼ぐにはいくら稼いだらよいのでしょうか。

106万円+増税分12.5万円+配偶者の新たな社会保険料負担約20万円+税≒約140万円
130万円+増税分12.5万円+配偶者の新たな社会保険料負担約25万円+税≒約170万円

配偶者にとっては改正まで悩ましい日々が続きそうです。

■このコラムのポイント

  1. 年収103万円の壁、130万円の壁について考えてみましょう。
  2. 短時間就労者に対する社会保険負担問題が106万円問題に波及しています。
  3. 平成30年以降改正される配偶者控除・配偶者特別控除の縮小により、高所得者の税負担が増えることになります。

このコラムの執筆税理士

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