相続にかかる遺産分割手続きと相続税 その28
相続コラム - 2018年06月22日

「相続税対策編(7)」

■不動産を活用した相続税対策考察

預貯金よりも、自宅や賃貸物件などの不動産として保有したほうが、相続税評価額としては、路線価であれば一般に時価の8割程度、固定資産税評価額については時価の6~7割程度とされ、さらに借家又は借地等であれば、さらに借地権・借家権が控除されることにより、相続税課税財産としての価格が引き下げられると言われています。加えて小規模宅地等の評価減が適用されると、土地の価格の5割又は8割が減額されることになります。
一方でどのようなデメリットが考えられるでしょうか。

■不動産の保有リスク

不動産には毎年固定資産税や維持管理するための費用がかかります。賃貸不動産については、管理コストや空室リスク、入居者とのトラブルや、将来の家賃の引き下げなどのリスクも考慮しておく必要があるでしょう。収支が当初の想定通り回らず、やむなく安価で売らざるを得ないといった事態に陥る場合も現実にあります。新築当初はよいとして、中古物件を購入する場合、思わぬ多額の修繕費等が生ずることもあるかもしれません。
さらに、不動産の時価の変動リスクも考慮する必要があり、バブル期に買った不動産の価値が、当初金額の3分の1以下に下がってしまったといったことも珍しくありませんでした。

■相続の際のリスク

相続人が複数いる場合、不動産をどう分けるかで争いになる場合があります。例えば相続財産が自宅のみだったとして、相続人が子供3人の場合、どのように分けるでしょうか。同居していた長男が相続するとして、他の相続人2人が、法定相続分を主張した場合には、解決方法として2つ。
1つは、長男が、自宅の3分の1相当額の現金を代償財産として他の相続人にそれぞれ渡す方法があります。長男が資金を持っていない場合には、難しいですね。
2つめは、自宅を3分の1ずつ共有する方法。但し、遠い将来、次の世代に相続する場合など、利害関係者が変わる、あるいは増えるなどによって、処分する、あるいは建替える時など、権利者全員の承諾を得なければならず厄介です。
不動産を沢山保有していたものの預貯金等が少なく、納税資金がない、といったケースも見受けられます。
このように不動産購入を検討するに当たっては、専門家の視点も交えつつ、長期的な視点で検討していく必要があるでしょう。

■このコラムのポイント

  1. 預貯金等と賃貸不動産の場合の、相続税課税上の取り扱いの違いについて理解しましょう。
  2. 不動産保有には、維持管理コストのほか、時価変動リスクや、賃貸不動産については収支の見通しなど、検討する必要がある。
  3. 相続の際、不動産をどう分けるか、納税資金の確保など、次世代への影響も考えておきたい。

このコラムの執筆税理士

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