相続にかかる遺産分割手続きと相続税 その30
相続コラム - 2018年07月27日

「海外移住と相続税」

被相続人や相続人が海外に住んでいる場合など、相続税はどうなるのでしょうか。

■海外居住と相続税の課税関係

日本の相続税は、国内にある財産のみならず、原則として海外の財産にも全て相続税がかかります。
但し、被相続人も相続人も国内に住所が無い場合で、以下に該当する相続人(制限納税義務者といいます)は、海外にある財産には相続税が課税されず、日本国内にある財産についてのみ相続税の対象となります。

① 日本国籍を有していない相続人
② 日本国籍を有する相続人だが、被相続人・相続人ともに5年を超えて国内に住所が無い場合

■相続税がかからない国等への移住問題

相続税がかからない国や地域といえば、中国、香港、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドなどがあります。
こういった国等に海外移住して国外に財産を移し、上記のような制限納税義務者となって相続税が課税されないように対策を取る富裕層も中にはいらっしゃるようです。
この場合、注意すべき点がいくつかあります。

■国外転出時課税制度とは?

海外に移住するなどの場合、1億円以上の有価証券等を有する場合、出国時までに、その有価証券等についての含み益に所得税が課税されることになっています。(※「国際観光旅行客税」通称出国税とは異なります。)
【対象者】国外転出時において、1億円以上の有価証券等(株式、投資信託等、匿名組合契約の出資持分、未決済の信用取引等)を所有している居住者で、国外転出する日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有するもの。
例えば、企業経営者がリタイアして国外に移住する場合、上場・非上場株を含め、自ら経営している法人の持ち株についても、時価評価して、出国時に売却したものとみなした譲渡益に対して所得税がかかるというものです。

■このコラムのポイント

  1. 制限納税義務者を除き、国内外に有する全ての財産が相続税の対象となる。
  2. 相続税・贈与税がかからない国や地域もある。
  3. 国外転出時に1億円以上の有価証券を保有している等一定の者について、含み益に対し譲渡益課税の対象となる。

このコラムの執筆税理士

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